スタジオペンギンハウスには
岡田邦明先生からお借りしている写真集がありますが
今日はその中のひとつ
アンリ・カルティエ=ブレッソンの
“The Decisive Moment”「決定的瞬間」という写真集を見てみましょう .
アンリ・カルティエ=ブレッソンは
20世紀を代表するフランスの写真家で
国際写真家集団「マグナム・フォト」の創設者の一人 .
写真集 ”The Decisive Moment”「決定的瞬間」は
1932年から1952年にわたってライカで撮影した
作品126点を収録したもので
表紙の装丁はアンリ・マティスによるものです .
スタジオにあるのはその復刻版で
世界一美しい本を作る男と言われているGerard Steindlが率いる
ドイツのSTEINDLから出版されたものです .
もともと1952年にフランスのヴェルブ社から刊行された原著のタイトルは
フランス語で”Image a la Sauvette” 日本語では「逃げ去るイメージ」
その英語版のタイトルがThe Decisive Moment「決定的瞬間」なのですね .
一般には「決定的瞬間」という言葉だけが独り歩きしているように思えますが
ここに見られる作品からは「決定的瞬間」という断定的なイメージより
一瞬にして過ぎ去ってしまう世界をしっかりと捉えようという姿勢が感じられ
”Image a la Sauvette” 「逃げ去るイメージ」のほうが納得できるように思えます .
この写真集の中で私の目にとまったもののひとつ
New York, 1947. Solitude Downtown
と書かれたこの写真
奥の通りには陽があたっているのに
うらぶれた細い路地の角に座った男性がネコと向き合っている .
どんな会話がされているのでしょう?
お互いに孤独を慰めあっているのかしら?
なんだか寂しさに満ちた世界ですが
決して暗いものではないように思えます .